2010-01-01から1年間の記事一覧

雨 Ⅱ

雨 Ⅱ 鏡の中の彼女は 今にも泣きそうになっている 右腕のブレスレット時計に目をやり 小さなため息をついた もう確実に間に合わない 電話をしなければ・・携帯電話に手を伸ばし 再び小さなため息をついた 「どうして こんな日に あの場所へ。。。」 朝から続…

雨 Ⅰ

雨 Ⅰ 雷が鳴っている 今朝の天気予報は当たった 季節がまたひとつ変わる ビルの合間から見える小さい窓の外を眺めながら 彼女は一人梅酒をソーダで割って 飲んでいた 「こんなフリーペーパーに載って・・・」 フッとため息をひとつつき マスターに向かって声…

月と金

この次お会いする時は。。。 「まあ。月さんお久しぶりですね。」 「やあ。金さんご無沙汰をしてます。」 「月さん、おかわりなかったですか?」 「だいぶ様変わりしましたよ。」 「金さんのほうはいかがですか?」 「それが、まあ土星さんも火星さんもスタ…

Discus

暗い交差点をわたり 小さな路地に入りかけたその場所に 小さなペンライトに照らされたような Dの文字が浮かぶ よくみると いくつかのアルファベットがならんでいる 小さな扉が 同じ文字の羅列している木の看板を下げている 今夜はもうすでに 頭の中はぼんや…

追うことと追われること

いつの日も人生駆け引きがある そんなことを覚えたのはいつのころからだろう 待つ側と待たせる側と 惚れる側と惚れさせる側と そんなことを覚えたのはいつのころからだろう でも気づいたことは それもいつの日にか飽きて終わりが来る 自分から引き金を引かな…

過去の人は今も

雨の日に何をして過ごしますか? そんなメールが届いた。 本を読んで あなたのことを頭から消し去っています そんな返信を送った 好きな人からのメールにそっけなく答える はしゃいだ返事を書くのが私は苦手 気持ちを伝えるにはメールは短すぎる 「目を見て…

桜舞うころ

ゆっくりと春が終わる 傷つきやすい心が 人を傷つけることになる そんなことが この春にわかった 桜の花が 舞う季節に 花吹雪の中で静かに私は涙する 誰にも 何も言わずに 一人で涙する そして 私の心の傷は また いっそう深くなる 誰にも 知られず 一人で …

こちゃんとこむずかしか

世の中において 恋愛のはじまりと終わりは小難しく出来ている 小説のようには いかない・・ということ 恋愛体質と言う表現がある 女性特有だろうか 浮気体質と言う表現もある 男性特有だろうか なんというかいずれにしても 恋の一つや二つは 誰しもが経験し…

桜が満開でも

すっかり春は爛漫の様子 でも なんだか私はまだ少し春浅い頃合のままです ふと・・ほんとうにふとしたことで 春を抱きしめ損ねてしまったの 自分で気づいて 自分で引き金を引くタイミングを待って そのタイミングを失って ひく必要性もなくして 急に手持ち無…

あの人を想い出す

さくら・・さくら・・ あなたを見ていると 悲しいほど あの人を思い出す あのとき・・あの手を・・ もう一度触れてみたい 悲しいほど あの人を思い出す さくら・・さくら・・ あなたを抱きしめたい 悲しいほど あの人を思い出す さくら・・さくら・・ あなた…

恋の不自然さ

恋の不自然さを感じる事ありませんか? 大人になればなるほど 本当の気持ちを言えなくなってしまうから なんだか・・幼い時の純粋な恋を もう一度感じてみたいな・・ そんな風に 感じる時もあります そう・・両思いになりたいとか 感じあいたいとか そんな難…

想い人

好きな作家は誰ですか? 時にそう訪ねられたりします 好きな詩人は誰ですか? そんな風に訪ねられたりもします さて・・ 三好達治氏 中原中也氏 立原道造氏 大手拓次氏 この辺りまでは・・順当 正当派でしょうか ここからです・・ 銀色夏生氏の処女作品の頃 …

満月を向かえる晩に

秋が深まる 今夜は満月になる 願い事はなあに?と訪ねられて そっと首をかしげてみる 静かにすごすひととき 何かを思ってつづるひととき わがままをひとしれず 語りつくす 月の光の中で